患者さんは19歳女性。正中部分の隙間の改善を主訴に来院されました。
虫歯や歯周病の問題はなかったのですが、中切歯切縁部唇面に大きな白濁が存在していました。
初診時の状態です。充填する範囲のことを考慮すると多少白濁部に材料が乗っかりそうでしたが審美性には問題ないと判断。
ダイレクトボンディングで治療を希望していたので、治療後の白濁の見え方に大きな変化はないことを説明しました。
また遠方からの来院ということで当日治療を行いました。
ラバーダム防湿を行い、圧排糸を挿入することで治療後の歯冠鼓形空隙をさらに目立たないようにします。
歯面清掃後にエッチング処理を行い、ボンディング処理をします。
向かって右側の充填処置が終わり、反対側も同様に充填していきます。
充填不足や気泡が入らないことを確認しながらレジンを固めていきます。
フローレジンだけ充填が終わってとこです。マトリックスの厚み分どうしても隙間が残ってしまうので、ここからペーストレジンでさらに隙間の調整を行います。
ストリップスでプルスルーテクニックを利用しながらペーストを歯間部に移動させます。
術直後の状態です。ここから形態修正と研磨を行います。
左右の対称性が得られた状態で隙間をなくすことが出来ました。心配されていた白濁の見え方も大きな影響はないようです。ただ術直後で歯の乾燥が進み、中切歯のみならず全体的に白濁が強くなっているように見えます。
これは唾液などによる歯への水分の吸収が進めば初診時の状態に戻ると思われます。
またラバーダムによって歯間乳頭の変形が起き、わずかに鼓形空隙が生まれています。ただまだ自然閉鎖する可能性が高いので現時点で特に処置は必要ないことを患者さんに説明しました。
約2週間が経過しました。白濁も落ち着き歯茎も材料になじんで炎症所見は認められません。
拡大したところです。鼓形空隙も綺麗に塞がり自然な仕上がりになったと思います。
ダイレクトボンディングは自由診療(100.000+Tax)となります。
材料は必ず経年劣化していくものなので、付いてしまった着色や失われた光沢は適宜研磨を行い管理していく必要があります。