左上の痛みを主訴に来院された患者さんです。
痛み止めを服用しないと寝れない程の強い痛みを 感じているそうです。噛み合わせるだけで痛みが強くなるような状態だそうです。
術前の状態です。
数年前に治療したというメタルインレーが認められます。歯の色合いは他歯に比べると健康的な透明感が無くなり、全体的に黒く透けてるようにも見えます。
レントゲンです。根先部にはわずかではありますが透過像を認めます。
メタルインレーを除去した直後の状態です。古いセメントや感染歯質を取り除いていきます。
緑枠の部分に前回の治療の時に充塡したと思われるセメントがありました。
それを削って取り除いていくと、
残念ながら0.2〜0.3mm程の露髄を認めました 。前回の治療の時にすでに存在していたものと考えられます。
緑枠の部分が露髄しているところです。
直接覆髄法が行われたと予測します。今回は残念ながらいい経過を辿れなかったようです。
拡大したところです。
根管治療を行う為に露髄部分から根管口を明示していきます。
あらかた明示が終了したところです。歯髄が萎縮しており出血もありません。歯髄失活の状態です。
別角度から確認すると口蓋根舌側の歯質に破折線が認められました。
拡大したところです。直線的な線が確認できます。
緑の線の部分です。この破折がどこまで進行しているかは根管治療を行いながら確認したいと思います。
万が一根先まで続く破折が起きていた場合、残念ながら抜歯の適応になってしまいます。
一度破折線が入ると後は線が拡大していくのを待つだけとなってしまいます。破折が広がれば矢印の方向からバクテリアの侵入から再感染を起こしてしまいます。
いくら根管治療をうまく終わらせても感染を防ぎにくい状態になってしまいます。
ひとまずこの日はこれ以上破折が進行しないように隔壁を施し、投薬を行いました。